登山画日記



2005/07/16〜18 利尻山
深田久弥氏選定の日本百名山第一番目の山 標高1,721m

行程 時間 天候 備考
2合目 2005/07/17 am0:10 晴れ オートキャンプ場ゆ〜に
3合目 2005/07/17 am1:00 晴れ 標高220m 管理棟へ入山届 トイレ有 携帯トイレ配布回収
甘露泉水 2005/07/17 am1:20 晴れ 3合目から500m 軽く食事
6合目(第一見晴台) 2005/07/17 am3:40 晴れ 標高755m 途中5合目で軽く食事
7合目(七曲) 2005/07/17 am4:10 曇り 標高900m
8合目(長官山) 2005/07/17 am5:50 雨・強風 標高1,218m 7〜8合目間大岩でしばし避難
避難小屋 2005/07/17 am6:20着
2005/07/17 am7:10発
曇り・雨 朝食 天候回復を待つ
9合目 2005/07/17 am7:50 曇り・風雨 標高1,400m
山頂(北峰) 2005/07/17 am9:05 曇り・雨 標高1,719m
山頂(北峰) 2005/07/17 am10:00 曇り 標高1,719m下山
8合目(長官山) 2005/07/17 pm12:05 曇り 標高1,218m 7〜8合目間大岩でしばし避難
7合目(七曲) 2005/07/17 pm1:10 曇り 標高900m
6合目(第一見晴台) 2005/07/17 pm1:45 晴れ 標高755m
5合目 2005/07/17 pm2:20 晴れ
3合目 2005/07/17 pm15:40 晴れ 標高220m 管理棟へ下山届

第2日目(2005/7/17)

 いよいよ、利尻山挑戦の日となりました!
 予定では、午前3時頃に起床し、登る予定だったのですが、その日のうちに目覚めてしまい、いろいろ考えていると寝られなくなってしまいました…。妻も同じだったようで、であれば、今から行こうか!ということになってしまいました。11時55分に身支度を整え、出発です!
 まずは、温泉施設の近くに湧き出て(引いてきている?)いる、甘露泉水で、当座の水を補給します。キャンプ場は2合目に位置しているようですが、登山道入り口の3合目までは、かなり距離があります。2.6キロほどだったと思います。しかも、舗装路面を歩きますので、足への負担が心配されます…。
 3合目までは、1時間半くらいかかるかな〜、と覚悟していたのですが、思ったより早く着きました。50分程で登山道入り口へ到着です。
 ここには、管理棟、キャンプサイト、バンガロー、などの施設があります。少し古めですが、登山道の入り口にありますので、前日にここまで来ていると登山が楽になるかと思います。
 立派なトイレもありまして、ここで入山記念の一枚!
 携帯トイレも無料で備え付けられていました。
 登山道入り口から、勾配の緩い道を500メートルほど進みますと、有名な甘露泉水に到着です。日本百名水の一つです。本当に美味しい、甘い水です。ここで、持参したトマトを冷やし、前日購入した餅と一緒に食べました。
これ以降は水がありませんので、十分の取水が必要です。
 ここを出発したのが、午前1時40分頃ですので、まだまだ外は暗い真夜中です。ヘッドライトを装着し、慎重に歩みを進めます。
 周囲の様子など分からない中の登りですので、いまいち距離感、時間共に分からず、いったい今どの辺なのだろう!?どれくらいの時間が経ったのだろう!?などと考えながら、あれ!?と思ったら、4合目の看板があり、あれ!?っと思ったら5合目に着いていました。5合目くらいまでは、背丈の高い針葉樹に覆われていますので、時々、木々の切れ目から星空が見える、という感じでした。晴れていて嬉しい〜!この調子だと、朝陽も見えるかな!?
 暗闇の中での山行は、神経を通常以上に使うためか、知らないうちにかなりの疲れが溜まるようですので、5合目では、少し休憩し、軽く食事をしました。と言っても、先ほどの餅ですが…。

 また、ひたすら登り、午前3時40分頃、6合目に到着!!この少し前くらいから、東の空が白やみはじめ、ヘッドライトを消して登れるようになりました。
 この辺りから、かなり風が強くなってきました。そして、何時しか、周囲はハイマツなどの低木が主体となってきました。ですから、風の影響を直接体に受けるようになり、疲労度が増します…。
 それでも、まだまだ妻も元気そうです!


 6合目から眼下を望みます。(写真は、大幅に明るく設定していますので、肉眼では、まだまだ暗い状態でした。)
 7合目にかけても、然して、辛くも感じず、マイペースで登ることができました。6合目から7合目にかけて、いよいよ日の出という時間帯でしたので、私一人ペースを上げ、見晴らしの良い場所を探します…。
 しかし、眺望の良い場所は全くなく、ようやく7合目に着いた頃には、かなり、日も上がっていました。しかも、この頃から、曇り空になってきまして、ん??大丈夫か!?と天候を心配します。午前4時10分7合目に到着し、妻も遅れること10分ほどで到着。


 7合目の看板に「大曲」とありますように、ここからが、クネクネとした辛い登りとなりました。しかも、天候はどんどん悪くなり、風雨除けとなるような、岩や木々もあまりなく、稜線をものすごい速度で通過してゆく雲にさらされているような状態になりました。途中、大き目の岩がありましたので、そこで、しばし、風雨をしのぎましたが、これは、ちょっと登頂は無理かな〜、と思い出しました。妻も、かなりヘバリ気味です…。その頃、2人の若い男性が私たちを追い抜いて行きました。午前3時頃3合目を登り始めたようですが、我々、2時間のアドバンテージがありながら、早くも越されてしまった…。さすが、健脚家は違います…。
 でも、8合目先にある避難小屋まではなんとか行って、温かいご飯にあずかりたい!という思いをバネに、なんとか先へ進みます。
 しかも、7合目までは比較的、急な勾配も無く、1合ずつの間隔も短く、あれ!?もう7合目!?と早く感じられたのですが、ここからが、長く急な登坂となり、荒天も相まって、妻も脱落寸前!?
 当然、カメラなど出すこともできず、ひたすら我慢の登り…。

 そして、7合目から登ること1時間40分、午前5時50分頃にようやく8合目へ到着!
 この7合目から8合目までの間で、利尻山の厳しさを味わいました。もう、なんて大変な登山なんだ〜と思わされました…。
 しかし、8合目の長官山というところから見る利尻山頂の美しいことと言ったら…。なんだか、この勇壮な眺めを目にすると、今までの疲れがフッとなくなるかのような感覚でした。
 幸い雨は上がったものの、好天とは言えない状況ではありましたが、本当に素晴らしい景色でした。山の厳しさと素晴らしさを短時間で味わった印象です。
 この眺めが青空だったら、どんなに素晴らしいのだろう…、と想像してしまいます。
 8合目を過ぎると、そのまま山頂へ向かうルートと、避難小屋へ向かうルートに分かれますが、私たちは、右手の避難小屋への緩い勾配の道を登ります。15分くらいで到着です。
 ここで、しばし休憩し朝食です。お湯を沸かしまして、お馴染みの定番メニュー、カップラーメンです。
 避難小屋での朝食時に、また、風雨の状態となりまして、これは、難しいかな〜と思っていたのですが、少し収まったようでしたので、いよいよ山頂を目指すことにしました!
 妻は、完全に荷物無しの状態で登ります。私は、カメラ機材と防寒具などを入れたザックを背負います。ここから、まだまだ先は長いのです…。8合目で標高1,200mなんです。ということは、まだ500mの標高差があることになります。



 利尻山の花は、大部分が8合目より上に咲いております。ですから、ここからが楽しみとなるのですが…、出て早々に、風雨が強くなってきます。なので、カメラはなかなか出すことができません…。
 そんな中でも何枚か撮影してきました。
 避難小屋を出ると、イブキトラノオなどが咲いていました。(↓)ハイオトギリなどを咲いていました。
 こんな、稜線の風雨厳しい環境の中で、短い夏の間に精一杯花を咲かせるんですね…。
 かなり登山道は崩壊しているのですが、このような急な登りを一歩ずつ踏みしめてゆきます。
 40分かけて9合目へ到着!9合目付近も様々な花が咲いていました。
 シュムシュノコギリソウ
 
 




 先ほどの9合目看板から少し行きますと、もう一つ看板があります。そして、そこには、「ここからが正念場」との文字が…。見上げると、本当に正念場を迎えそうな急坂です。
 登山道の崩壊も著しく、かなりえぐれています。







 そんな辛い登りではありますが、花々が至る所に咲いておりまして、目を楽しませてくれます。
 ウコンウツギミヤマアズマギクトウゲブキリシリオウギチシマフウロミソガワソウミヤマオグルマキバナノコマノツメエゾツツジイワベンケイなどなど。
 そして、登りに登って、その先にポコッとした岩が見えました!あれが頂上でしょうか!?
 先ほどの岩は、頂上では無かったようですが、どんどんと近づいてきまして、いよいよ山頂が見えてきました!
 右手に見えるのがローソク岩です。
 左上の頂上で、休憩している登山者が見えます。
 そして、ようやく山頂に到着!!午前9時を少し過ぎたところでした〜。
 それにしても、長かった…、厳しかった…。
 山頂は、かなり狭いのですが、もう、登山者で溢れています。座るところもないくらいに混雑していました。百名山登頂を目指す本州などの方が多かったです。しかも、50代以降の熟年者が多かったです。すごいですね〜。
 「利尻岳」のプレートを持った下の写真で少し分かるのですが、利尻山は切り立った山頂なので、大気の流れを変えるといいますか、変化をもたらせるように思います。ちょうど、山頂に着いたとき、雲が山頂にぶつかって左右に分かれていました。そして、山の向こうでまた雲が繋がるのです。モーセが紅海を分けたような、不思議な光景でした。
 NHKのロケ班も来ておりまして、避難小屋に長期滞在して、いろいろ撮影しているとのことでした。来年に放送されると言っておりました。ザックの中に、厳重に包んだカメラや、三脚など超重量級の機材を入れ、背負っていました。女性の方も重たい荷物を背負ってヒョイヒョイ歩いていました。




 山頂付近では、雨は止んでいましたので、もう少し、天候が良ければ…、という感じでした。
 それでも、切り立った山の姿は、まさに山岳と言えるような光景でした。
 普段は、大雪山などの、比較的なだらかな山を見ているので、利尻山の荒々しさは新鮮に思えました。


  小一時間山頂で休憩し、天候が悪いなりの雄大な景色を満喫し、下山することにしました。下りはさらに厳しいものとなります。



 登山道はこんなにも侵食されて、えぐれております。

 ちょうど、この辺りで、妻の目がすれ違う登山者のうちの一人をしばらく凝視して、「○○(いとこ)ちゃんじゃない??」と言ってきます。確かに、似ていますが…、まさかね〜、と言っているうちに、その方も見えなくなり、こちらも確かめる余裕もなく、そのままになってしまいました。
 まだまだ、山頂を目指す登山者に行き交います。
 
 山頂を目指したときに比べると、風は強いですが雨が止みましたので、少し歩きやすいでしょうか…。イワギキョウゴゼンタチバナなどが咲いています。ゴゼンタチバナはいろいろな高度で見かけました。
 なんとか非難小屋に着き、山頂へは持っていかなかった荷物などを整理し、下山します。
 ちょうど、下の写真の右側に避難小屋が写っております。風雨や疲れのため、すっかり非難小屋の全容を撮らずに下りてきてしまいました…。長官山で記念撮影です。だいぶん晴れてきましたが、まだ、雲がかかっています。次回は、すっきり青空のもと登りたいものです。


 8合目からの下りは、このような感じです。低いブッシュに囲まれて、景色もあまり見られません…。ひたすら、稜線沿いを下ります。
 妻の体力もそろそろ尽きてきたようで、1合ずつ休憩です。
 それもそのはず、この7合目付近で、既に出発から13時間経過しているのですから…。
 6合目、5合目とダラダラです。あと少し!!
 この辺りから、頭の中は"うに丼"でいっぱいです。そんなことばかり考えていては、危険なのでしょうけど、あまりの辛さに、現実逃避が始まり、うに丼をほお張る自分の姿を思い浮かべて、辛さを紛らわします。


 そうこうしているうちに、残りがわずかとなってきました。
 こうなると、妻が猛然とラストスパートをかけます。いち早く、この状況から脱却したいのか、辛い登山の最後はいつもこうなります。私も付いてゆくのがやっと…。
 なんだかんだ言いましても、無事下山することができました。
 3合目の管理棟で下山届を出し、利尻山登山終了!!!

 が…、ここから、バンガローまでが長いこと長いこと…。しかもアスファルトを2.6キロ。私は、一番ここが辛かったと思います…。
 ようやく、宿舎に着きまして、温泉に入り、その晩は、温泉施設のレストランで生ビールと定食を頂きまして、いや〜、利尻ってすごいね〜、と話し合いました。

 妻は、利尻から下りるなり、来年は晴れたときにもう一度挑戦だ!と息巻いていました。
 今、へばっていたばかりなのに、偉いです。
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